PRESS RELEASE
SORAMITSU Co., Ltd.
Shibuya-ku, Tokyo, Japan
プレスリリース
2022年4月21日木曜日

Datachainとソラミツ、異なるデジタル通貨間の同時交換を見据え、複数のHyperledger Iroha同士のインターオペラビリティに成功

株式会社Datachain(本社:東京都港区、代表取締役:久田哲史、以下、Datachain)とソラミツ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:宮沢和正、以下、ソラミツ)は、ソラミツが日本発で当初提供したブロックチェーンHyperledger Iroha(以下、Iroha)において、IBC(*1)を用いたインターオペラビリティの実証に成功しました

主要ユースケースとしては、異なるデジタル通貨間の同時交換(PVP決済(*2))を想定しています。近年、デジタル通貨は既にいくつもの自治体で提供されており、さらに大阪府スーパーシティでも導入が検討されるなど、デジタル通貨を巡る動きが活発化しています。それらの基盤にはIrohaやCordaなどの各種ブロックチェーンが利用されています。このような中で、複数のIroha同士やIrohaと異種ブロックチェーンの相互接続による異なるデジタル通貨間でのPVP決済のニーズが高まっています。

今後、Cordaなどの異種ブロックチェーンとの相互接続にも対応することで、様々なデジタル通貨・デジタル地域通貨同士がつながる世界の実現を目指してまいります。
■ 概要

Datachainとソラミツは、2021年11月の技術連携の開始以来、The Linux FoundationのHyperledgerプロジェクトの1つであり、ソラミツが当初提供したIrohaのインターオペラビリティ実現に向け、共同で取り組みを推進してきました。

その成果として、この度、Irohaで構築された複数のブロックチェーン同士の接続(インターオペラビリティ)に成功しました。

技術的には、Datachainが開発をリードするインターオペラビリティプロジェクトHyperledger Lab YUIの「yui-ibc-solidity(IBCのSolidity実装)」を用いています。その上で、IrohaにおけるICS-20(IBCにおけるトークン転送について定めている標準)実装、web3 APIに対応するためのweb3-gatewayの実装などにより実現しています。

yui-ibc-solidity

https://github.com/hyperledger-labs/yui-ibc-solidity

iroha-ibc-modules

https://github.com/datachainlab/iroha-ibc-modules
■ 想定ユースケース

ソラミツが開発をリードするIrohaは、次のような国内外のデジタル通貨プロジェクトにおいて、既に実用化が進んでいます。

  • カンボジア王国のCBDC「Bakong/バコン」

  • 福島県会津大学のデジタル地域通貨「Byacco/白虎」

  • 福島県磐梯町のデジタル商品券「磐梯町デジタルとくとく商品券」

  • 大阪府豊能町スマートシティのデジタル商品券「とよのんプレミアム付きデジタル商品券」
他にも、大阪府による官民共同のスーパーシティ実現に向けた取り組みの中で、Irohaを用いて構築されているデジタル通貨発行SaaSプラットフォーム「LITA(リタ)」を用いたデジタル通貨の導入が検討されています。

また、金融審議会「資金決済ワーキング・グループ」において、ステーブルコインが電子的支払手段として定義され、早ければ2023年にも資金決済法等の関連法令の法改正が行われる見込みです。これに伴い、三菱UFJ信託銀行はステーブルコインの発行・管理ができる基盤「Progmat Coin」の発表に至っています。また、大手企業74社が参画するデジタル通貨フォーラムが推進するデジタル通貨「DCJPY(仮称)」の検討も進められています。

このようにデジタル通貨関連の動きが活発化する中で、今後、デジタル通貨の流通が本格化すると、異なるデジタル通貨同士の同時交換(PVP決済(*2))のニーズが高まります。Datachainとソラミツでは、このようなデジタル通貨・地域通貨同士の交換を主要なユースケースとして想定しています。
■今後について

今後、Datachainとソラミツでは、前述の想定ユースケースを中心に、Irohaを用いた具体的なユースケースへの応用を目指すとともに、デジタル通貨を含む金融系のプロジェクトに採用されているブロックチェーンCordaなど、異種ブロックチェーン基盤とのインターオペラビリティにも対応することで、ユースケースのさらなる拡充を図ってまいります。

また、今回の取り組みで実装を行ったモジュールなどについては、OSSとして公開しており、Irohaへのアップストリームについても検討してまいります。

■ Hyperledger Lab YUIについて

Hyperledger Lab YUIは、様々なブロックチェーン基盤においてIBCによるインターオペラビリティを実現するためのプロジェクトです。Datachainが開発をリードしており、Hyperledger LabとしてOSSで提供しています。

通信プロトコルにIBCを採用しているため、第三者の仲介者の信頼に依存することなく、異なるブロックチェーン同士をつなぐことが可能です。

今回新たにサポートしたIrohaの他、Hyperledger Fabric、Hyperledger Besu、Cordaなどの主要なエンタープライズブロックチェーンに対応しています。また、Ethereumについても対応作業が進行しています。

Hyperledger Lab YUIの詳細については、以下のリンクをご覧ください。

https://github.com/hyperledger-labs/yui-docs



■ Hyperledger Irohaについて

Hyperledger Irohaは、日本発のブロックチェーン基盤としてリリースされ、現在はThe Linux FoundationのOSSとして世界中で利用されています。カンボジア王国CBDCを初めとしたデジタル通貨における金融用途に留まらず、アセットを簡単に管理できる機能、モバイルアプリ開発向けライブラリーの提供、IoTデバイスに組み込み易いといった特徴により、デジタルIDやトレーサビリティといったブロックチェーンが求められる分野で幅広く支持されています。



■ 株式会社Datachainについて

社名 :株式会社Datachain

事業概要:ブロックチェーン技術に関連する企画・開発

設立 :2018年3月

所在地 :東京都港区六本木四丁目1番4号

代表者 :代表取締役 久田 哲史

URL :https://ja.datachain.jp/


■ ソラミツ株式会社について

社名 :ソラミツ株式会社

事業概要:ブロックチェーン・ソフトウェア・ベンダー

設立 :2016年2月

所在地 :東京都渋谷区千駄ヶ谷5丁目27番5号リンクスクエア新宿16階

代表者 :代表取締役 宮沢 和正

URL :https://soramitsu.co.jp/ja/


*1 IBC:Inter-blockchain communicationの略称。Interchain FoundationおよびCosmosプロジェクトによって策定が進んでいる、ブロックチェーン同士の相互運用性を担保するための仕様標準。

*2 PVP決済:Payment Versus Payment決済の略称。異なる通貨間の取引を同時決済すること。


* 株式会社Datachainは、株式会社Speee(本社:東京都港区、代表取締役:大塚 英樹、東証スタンダード市場:4499)の子会社です。

* 本資料に記載されている会社名、商品名、サービス名は、各社の商標又は登録商標です。