オープンソースとともに歩んだ10年
Irohaは、分散型台帳技術を実際のアプリケーションでより使いやすくするという実践的な目標から始まりました。デジタル資産、アイデンティティ、権限管理を重視した設計により、開発者による企業、金融機関、個人向けのシステム構築を支えてきました。
2019年5月のIroha 1.0のリリースは、その目標を本番環境での利用につなげる重要な一歩となりました。
Iroha 2では、アーキテクチャを大幅に刷新しました。2025年2月には、LF Decentralized Trustが、
パプアニューギニアとソロモン諸島における中央銀行デジタル通貨の概念実証での活用を紹介しています。世代を重ねても、各機関が運用でき、開発者が機能を拡張できる共有の技術基盤を実現するという目標は変わりません。
「Hyperledger Irohaのプロジェクト採択10周年おめでとうございます。私がIrohaをHyperledger Governing Board Memberとして共同提案をさせて頂いた当時は、ブロックチェーンの黎明期と言ってもよい段階であり、可能性については有望視されながら、まだまだ適用には具体性を欠く時代だったと言っても過言ではありません。そうした中で、Irohaのプロジェクト化を図ることで、少しでもブロックチェーン適用の加速ができればと考えておりました。その後、各国のCBDCへの適用等、大きな成果を上げられてきたことは共同提案者として誠に喜ばしい限りです。今後ともIrohaが更なるブロックチェーンの発展に貢献され、更なる発展を遂げられることを祈念します。」
長 稔也株式会社 日立製作所 金融システム営業統括本部 シニアエバンジェリスト
Bakong:国家規模で活用されるオープンな技術
その代表的な成果が、ソラミツと
カンボジア国立銀行が共同開発し、2020年10月28日に正式運用を開始した
Bakongです。Hyperledger Irohaを基盤とするBakongは、参加金融機関をつなぎ、カンボジア・リエルと米ドルによる決済を支えています。
カンボジア国立銀行の
『Financial Stability Review 2025』によると、Bakongの
2025年の取引件数は約13億2,600万件となり、前年比
118.7%増を記録しました。取引総額は
899兆1,000億リエル(KHR)に達し、カンボジアのGDPの約4.5倍に相当します。リエル建て決済は、
取引件数全体の58.2%を占めました。
同報告書には、域内8つの国・地域および4つの国際決済サービス事業者とのQR決済接続に関する取り決めも記されています。Bakongは、中央銀行の主導と金融セクターの幅広い協力の下で、オープンソースのインフラが、日々の決済を支える共通基盤となり、国際的な接続を広げられることを示しています。